パズル万華鏡

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数学的帰納法によって解ける整数問題の解

 数学的帰納法によって解ける整数問題の解答例を示します。

 

問題の解

 aとbの和について数学的帰納法で証明する。

(A)aとbの和が3の場合。

 正整数a,bの仮定(a>b>0)より、a=2,b=1となる。そこで、x=1,y=-1とすれば、

    2・1 + 1・(-1) = 1

が成り立つ。すなわち、命題は正しい。

(B)aとbの和が、3以上k(k≧3)以下で命題が正しいと仮定する。

 つぎに、aとbの和がk+1のときも命題が正しいことを示す。

    c = a - b

とし、bとcについて考える。

 まず、bとcは互いに素であることがわかる(なぜなら、bとcが互いに素でないとすると、b=b'm,c=c'mとかけ、a=(b'+c')mとなって、aとbが互いに素という仮定に反する)。

 また、bとcの和が

    b + c = b + (a - b) = a = (k+1) - b ≦ k

となることがわかる。

そこで、bとcについて仮定が適用でき、

    bu + cv = 1

を満たす整数解u,vが存在することが導ける。

ところが、c=a-bの関係を代入すると、

    bu + (a - b)v = 1
    av + b(u - v) = 1

となる。ここで、x=v,y=u-vとすると、

    ax + by = 1

となる。すなわち、aとbの和がk+1のときも命題は正しい。

(A),(B)より命題が証明された。

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