背理法の理解・実数問題(2)を紹介します。
問題(2)
背理法の理解・整数問題(7)の解答例を示します。
問題(7)の解
背理法で証明する。
「H(n)は整数である」と仮定して矛盾を導く。
両辺に1,2,・・・,nの最小公倍数aを掛けると、左辺はaH(n)となる。
ここで、aは偶数であることに注意すると、
H(n)は整数と仮定しているので、左辺aH(n)は、偶数になる。
一方、右辺は、
a + a/2 + a/3 + ・・・ + a/n
になる。
ところが、1からnまでの自然数の中で、因数2を最大個数持つものを
m(このようなmは、1からnまでの中に、ただひとつ存在する)とすると、
a/mのみが 奇数 になり、他のa/k(1≦k≦n, k≠m)は、偶数になる。
n=10の場合、最小公倍数aは、23・32・51・71=2520となり、m=8となる。
したがって、右辺は、奇数になる。
すなわち、左辺が偶数、右辺が奇数となる。
これは矛盾である。
したがって、命題が正しいことが証明された。
背理法の理解・整数問題(6)の解答例を示します。
問題(6)の解
背理法で示す。
「ある正整数aが複数通りに素因数分解される」と仮定して矛盾を導く。
このように仮定すると、
a = p(1)p(2)・・・p(n) (p(1)≧p(2)≧・・・≧p(n), p(1),・・・,p(n)は素数)
= q(1)q(2)・・・q(m) (q(1)≧q(2)≧・・・≧q(m), q(1),・・・,q(m)は素数)
と書ける。
ここで、上式中、1番目からk-1番目までの素数が等しく、k番目で初めて違う
素数が現れたとする。
すなわち、
p(1)=q(1),・・・,p(k-1)=q(k-1), p(k)>q(k) または p(k)<q(k)
が成り立つ。
p(k)>q(k)と仮定すると、
p(k)p(k+1)・・・p(n) = q(k)q(k+1)q(k+2)・・・q(m)
となるが、
p(k)とq(k)は、互いに素であることから、
p(k)はq(k+1)q(k+2)・・・q(m)の約数でなければならない。
同じように考えると、
p(k)とq(k+1)は、互いに素であるから、
p(k)はq(k+2)・・・q(m)の約数でなければならない。
p(k)とq(k+2)は、互いに素であるから、
p(k)はq(k+3)・・・q(m)の約数でなければならない。
・・・
p(k)とq(m-2)は、互いに素であるから、
p(k)はq(m-1)q(m)の約数でなければならない。
p(k)とq(m-1)は、互いに素であるから、
p(k)はq(m)の約数でなければならない。
結局、
p(k)≦q(m)≦q(k)
となり、p(k)>q(k)と矛盾する。
p(k)<q(k)と仮定しても同様の矛盾に到達する。
したがって、素因数分解の表し方は1通りであることが示された。