パズル万華鏡

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背理法の理解・整数問題(7)の解

 背理法の理解・整数問題(7)の解答例を示します。

 

問題(7)の解

 背理法で証明する。

 「H(n)は整数である」と仮定して矛盾を導く。

両辺に1,2,・・・,nの最小公倍数aを掛けると、左辺はaH(n)となる。

ここで、aは偶数であることに注意すると、

H(n)は整数と仮定しているので、左辺aH(n)は、偶数になる。

一方、右辺は、

a + a/2 + a/3 + ・・・ + a/n

になる。

 ところが、1からnまでの自然数の中で、因数2を最大個数持つものを

m(このようなmは、1からnまでの中に、ただひとつ存在する)とすると、

a/mのみが 奇数 になり、他のa/k(1≦k≦n, k≠m)は、偶数になる。

 n=10の場合、最小公倍数aは、23・32・51・71=2520となり、m=8となる。

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 したがって、右辺は、奇数になる。

すなわち、左辺が偶数、右辺が奇数となる。

これは矛盾である。

したがって、命題が正しいことが証明された。

 

背理法の理解・整数問題(7)

 背理法の理解・整数問題(7)を紹介します。

 

問題(7)

 正整数n(n≧2)に対して、

H(n) = 1 + 1/2 + 1/3 + ・・・ + 1/n

とする。このとき、H(n)は整数でないことを背理法で示せ。

 H(n)を分数と小数で求め、表にまとめた。

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 H(n)の分子は、この範囲ですべて奇数となっている。
また、H(n)の分母についても、6は、1,2,3の最小公倍数、
12は、1,2,3,4の最小公倍数、60は、1,2,3,4,5の最小公倍数などがわかる。

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背理法の理解・整数問題(6)の解

 背理法の理解・整数問題(6)の解答例を示します。

 

問題(6)の解

 背理法で示す。

 「ある正整数aが複数通りに素因数分解される」と仮定して矛盾を導く。

このように仮定すると、

  a = p(1)p(2)・・・p(n) (p(1)≧p(2)≧・・・≧p(n), p(1),・・・,p(n)は素数
   = q(1)q(2)・・・q(m) (q(1)≧q(2)≧・・・≧q(m), q(1),・・・,q(m)は素数

と書ける。

ここで、上式中、1番目からk-1番目までの素数が等しく、k番目で初めて違う

素数が現れたとする。

すなわち、

  p(1)=q(1),・・・,p(k-1)=q(k-1), p(k)>q(k) または p(k)<q(k)

が成り立つ。

p(k)>q(k)と仮定すると、

    p(k)p(k+1)・・・p(n) = q(k)q(k+1)q(k+2)・・・q(m)

となるが、

p(k)とq(k)は、互いに素であることから、
p(k)はq(k+1)q(k+2)・・・q(m)の約数でなければならない。

同じように考えると、

p(k)とq(k+1)は、互いに素であるから、
p(k)はq(k+2)・・・q(m)の約数でなければならない。

p(k)とq(k+2)は、互いに素であるから、
p(k)はq(k+3)・・・q(m)の約数でなければならない。

・・・

p(k)とq(m-2)は、互いに素であるから、
p(k)はq(m-1)q(m)の約数でなければならない。

p(k)とq(m-1)は、互いに素であるから、
p(k)はq(m)の約数でなければならない。

結局、

  p(k)≦q(m)≦q(k)

となり、p(k)>q(k)と矛盾する。

p(k)<q(k)と仮定しても同様の矛盾に到達する。

したがって、素因数分解の表し方は1通りであることが示された。

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