パズル万華鏡

面白いパズルの紹介と解説をします。

ピタゴラス数についての考察(1)

 ピタゴラス数についての考察を紹介します。

 

 正整数a,b,cについて、a2 + b2 = c2(1≦a≦b≦c)とする。
 (このような正整数a,b,cをピタゴラス数という)
 a,bが互いに素なピタゴラス数を既約なピタゴラス数という。

たとえば、

( 1) 3 4 5         ( 25) 19 180 181          ( 49) 252 275 373
( 2) 5 12 13        ( 26) 57 176 185          ( 50) 135 352 377
( 3) 8 15 17        ( 27) 95 168 193          ( 51) 189 340 389
( 4) 7 24 25        ( 28) 28 195 197          ( 52) 228 325 397
( 5) 20 21 29      ( 29) 84 187 205          ( 53) 40 399 401
( 6) 12 35 37         ( 30) 21 220 221         ( 54) 120 391 409
( 7) 9 40 41        ( 31) 60 221 229          ( 55) 29 420 421
( 8) 28 45 53       ( 32) 105 208 233       ( 56) 87 416 425
( 9) 11 60 61       ( 33) 120 209 241       ( 57) 145 408 433
( 10) 16 63 65     ( 34) 32 255 257         ( 58) 84 437 445
( 11) 48 55 73     ( 35) 23 264 265         ( 59) 280 351 449
( 12) 13 84 85     ( 36) 69 260 269         ( 60) 168 425 457
( 13) 39 80 89     ( 37) 115 252 277       ( 61) 261 380 461
( 14) 65 72 97     ( 38) 160 231 281       ( 62) 31 480 481
( 15) 20 99 101      ( 39) 161 240 289       ( 63) 44 483 485
( 16) 60 91 109      ( 40) 68 285 293         ( 64) 132 475 493
( 17) 15 112 113    ( 41) 136 273 305
( 18) 44 117 125       ( 42) 25 312 313
( 19) 88 105 137    ( 43) 75 308 317
( 20) 17 144 145    ( 44) 36 323 325
( 21) 51 140 149    ( 45) 175 288 337
( 22) 85 132 157    ( 46) 180 299 349
( 23) 119 120 169  ( 47) 225 272 353
( 24) 52 165 173    ( 48) 27 364 365

がみつかる。つぎのような性質がある。

(1)正整数a,b,cのうち、少なくともひとつはn(2,3,4,5)の倍数である。
(2)正整数aとbのいずれか1つは、n(2,3,4)の倍数である。

 

「正整数a,b,cのうち、少なくともひとつは2の倍数である。」を背理法
 証明する。

 命題A:「正整数a,b,cのうち、少なくともひとつは2の倍数である」

 命題Aを否定すると、命題Bを得る。

 命題B:「正整数a,b,cとも、2の倍数でない(すなわち、奇数)」

 命題Bが正しいと仮定して矛盾を導く。

 このように仮定すると、

  a=2p+1,b=2q+1,c=2r+1

とおける。このとき、

  a2 + b2 = 2(2p2 + 2q2 + 2p + 2q + 1)
  c2 = 2(2r2 + 2r) + 1

となる。この結果、

  a2 + b2は2で割ると余りが0となる数、
  c2は2で割ると余りが1となる数

となる。これはa2 + b2 = c2に矛盾する。

 したがって、命題Bが正しくないことが示され、命題Aが正しいことが証明された。


●「正整数aとbのいずれか1つは、3の倍数である。」を背理法で証明する。

 命題A:「正整数aとbのいずれか一方は3の倍数である」

 命題Aを否定すると、命題Bを得る。

 命題B:「正整数a,bともに3の倍数でない」

 命題Bが正しいと仮定して矛盾を導く。

 このように仮定すると、

  a=3p±1,b=3q±1

とおける。このとき、

  a2 + b2 = 3(3p2 + 3q2±2p±2q) + 2

となる。一方、c=3rのとき、

  c2 = 9r2

 c=3r±1のとき、

  c2 = 3(3r2±2r) + 1

となる。この結果、

  a2 + b2は3で割った余りが2となる数、
  c2は3で割った余りが0または1

となる数となる。これは、a2 + b2 = c2に矛盾する。

 したがって、命題Bが正しくないことが示され、命題Aが正しいことが証明された。

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